壁面を美しく仕上げるための技術 2
扉にまでこの工法を採ったのは、もとより建築物において防火上最大の弱点となる開口部の耐火性と気密性を高めるためです。
当然のことではありますが・・・
頼長は配置計画にも特別の意を用い、文倉の周囲に防火帯として植樹し、池渠を作っています。
そして屋根を瓦葺にしたことをも含めて、建築物自体を今日でいう防火構造に仕立てたところに、律令制下の国衙正倉群より一時代進んだ姿をここに見出すことができるでしょう。
では次に、『春日験記』の土蔵について。
詞書によれば、主屋に火災が起り邸内の人々が中央に見える建築物の傍に避難している光景です。
この建築物の周囲には犬走が見え、かつ頑強そうな扉と庇もつけられているから仮設物とは考えられず・・・
また火災の避難所に当てられているところから、この建築物は耐火的に信頼のおけるものでなければなりません。
・・・つまり、固定した耐火建造物とみなさざるを得ないものです。
この時代にはもちろん外壁リフォーム技術はまだ存在していません。
ところで、この建築物の外観は大壁式で柱が壁面に表われておらず、屋根面をも含めて外装は白一色で、扉・庇さえ白く描かれています。